ノイズ対策の必要性と対策事例まとめ

ノイズ対策は電磁波を低減させたり遮断することで、これを怠ると内部の回路や他の電子機器に悪影響を与えてしまいます。ノイズフィルタを使用して電磁波対策をしますが、発生源に近い場所かつ適切な方法で設置しなければなりません。
ノイズ対策という言葉は、専門用語なので耳にしたことがある方はあまりいないのではないでしょうか。普段使っている家電製品のほとんどは対策されたものが使われており、日常に溶け込んでいるのです。ではノイズ対策とはいったいどのようなものなのか、必要な理由や具体的な事例、どの部品に必要なのかなどを解説して聞きます。

ノイズ対策とはそもそも何のこと?

ノイズ対策

ノイズとは電磁波のことであり、簡単に言えば電波そのもののことです。電波というのは発信源から中継地点を通り、各家庭に送信されているテレビやラジオなども含まれており、現代ではスマートフォンやパソコンの通信も含まれます。電子機器の回路があってもアンテナが無ければ電波が入ってくることはありませんし、アンテナも元の電源をオフにしていれば問題ありません。ただし、マイコンと負荷を結ぶ配線がノイズをキャッチしてしまい、あらゆる障害を引き起こします。これをなるべく軽減させるためにノイズ対策が存在し、多くの電化製品が対策しているのです。

ノイズには加害者と被害者がおり、攻撃を加える加害者側をエミッション、耐性が必要となる被害者をイミュニティとして扱います。医療機器や産業機器、照明機器は別の規格を元に設計され、エミッション試験を行いノイズの影響を調べることが一般的です。ノイズには静電気や雷サージなど多くの種類があり、IEC61000-4シリーズで規定された耐性試験を行いますが、こちらはエミッション試験ではなくイミュニティ試験と呼ばれます。試験の結果、基準値以上の結果が出たら、あらゆるノイズに耐性のあるため誤作動の心配がないと判断され、あらゆる電子機器に使うことが可能です。

ノイズ対策の必要性とは?

ノイズ対策

前述の通り、電子機器の基盤(電子回路)には負荷がかかる部分とマイコンが繋がっており、この回線がノイズを拾ってしまいます。この多いw策を怠ることで電源がうまく入らなかったり、テレビやパソコンの画面がきれいに映らなかったりすることがありますが、ひどい場合は電子機器そのものが壊れてしまうのです。近年は特にさまざまな物に対策を増やしており、中でもコンピューターで制御されている自動車はノイズ対策が不十分だと事故に繋がりかねません。衝突軽減システムだけでなく、ナビゲーションや液晶メーターもコンピューター制御です。

エンジンとモーターで駆動するハイブリッドカーは特に気を付けなければ誤作動を起こしてしまいますし、電気の流れに問題が生じると過剰に発熱したり、発火したりしてしまう恐れもあります。スマートフォンは小型であるが故、パソコンやノートパソコンと比べて回路が小さく高度な対策が必要です。ノイズ対策は電源が入っている限り完全に打ち消せるというものではなく、耐性を付けて負荷に耐えられるように設計するものなので、太陽フレアによる強い磁場のようなごくまれに発生する極端に高い負荷は想定していません。太陽フレアが発生した時に全国ニュースとして扱われるのは、現代の技術では完璧に対策できないからです。

ノイズ対策の事例

ノイズ対策

塗装用ロボットを製造している企業では、今まで開発していたものよりも多くの動作に対応した5軸ロボットを開発し、完成すれば今までよりも納入先を増やして多くの利益を得ることができます。しかし、あらゆる検査をクリアしていざ納入してみると客先から不具合が発生したため、調べてみると漏電ブレーカーが落ちてしまうため困っているとのことです。ロボットを動かすために組んだプログラミングや廃繊維は問題ありませんでしたが、方向や位置を制御するサーボ機構が原因と分かりました。サーボには試験をクリアしたフィルタを採用していましたが、あらゆる条件が重なったときのみアース電位を変異させてしまうことで、高周波の電流が流出していたのです。

この高周波ノイズを遮断させるために障害波遮断変圧器をサーボに組み込み、今まで起こっていた誤作動は完全になくなりました。実際に漏電が起こっていないものの、適切なノイズ対策が行われなかったことでプログラムが認識を誤り、漏電ブレーカーが落ちてしまっていたのです。何度調査しても原因が分からない場合の多くは高周波ノイズが影響しており、これを特定できないといつまで経っても納入を再開することはできませんし、最悪の場合は企業の信頼問題に繋がって収益が悪化してしまます。

ノイズ対策をする際のポイント

ノイズ対策

主な対策は、加害者となるエミッションと被害者となるイミュニティに対応させる必要がありますが、基本的にはグランド対策・シールド対策・フィルタ対策の3つがポイントとなります。グランド対策は基準電位の安定化を意味する言葉で、電子機器内部にある回路の基準となるもので「グランド」と表記されていることがほとんどです。この中でも「シグナルグランド」と「フレームグランド」が大切で、基準電位が変動しないように気を付けなければなりません。シールド対策は一定の範囲内に電磁波を閉じ込めることで、簡単に言えばトイレの蓋を閉じるような対策方法です。

ノイズを放射している金属を特定し、その原因を探るのではなく金属自体を覆ってしまいます。専門用語では電磁波シールドと言い、金属を使って対策することが一般的です。導電率の高い金属ほど効果が高くなりますが、多く使用されているのは銅やアルミ箔になります。フィルタ対策は同じ伝送線路にある信号やノイズの違いを利用する方法で、ローパスフィルタ・ハイパスフィルタ・バンドパスフィルタ・ノッチフィルタの4種類の周波数特性があり、最も多く使われるのがローパスフィルタです。低い周波数を利用して、高い周波数を持つノイズを抑制させていきます。根本的な解決策にはなりませんが、ノイズを大幅に低減できることが特徴です。

ノイズ対策関連の部品について

ノイズ対策

前述の通り、ノイズ対策にはフィルタを使用することが一般的です。ノイズフィルタはEMIフィルタまたはラインフィルタと呼ばれており、ノイズには主に輻射ノイズと伝導性ノイズに分けられます。前者は電子機器から内外部の空間に直接放射されるもので、他の機器に大なり小なり影響を与えてしまうことが特徴です。後者は空間に放射されずに電源ケーブルや電子回路の配線を伝って他の機器に影響を与えてしまいます。どちらも誤作動だけでなく回路を破壊してしまうことがあるため、適切な対策部品を組み込まなければなりません。取付方法はフィルタをノイズ発生源にできるだけ近づける必要があり、入出力の結合がないように分離する必要があります。誤って平行に配列してしまったり、入出力線を一括でまとめてしまったりしている場合はうまく作動せず、ノイズフィルタの効力を低下させてしまいかねません。

また、ノイズ電流に対して低い抵抗値でなければならず、これを実現させるには太くて短いアース線を使用することが適切とされています。アース線が長いと高周波を低減させることができません。部品は多くの電子機器メーカーや対策品専門メーカーで購入することができますが、ほとんどは企業間の販売になるため、一般の方は別のルートから購入する必要があります。どの分野も強い競合相手や乗り越えなければならない壁があってこそ発展していくものですが、ノイズは電子機器にとって大敵かつ大きな壁である反面、技術向上や高度な文明への進化のために必要な存在でもあるのです。